【不定期連載】シベリウスと伊福部昭の作風、そしてラウダ・コンチェルタータ 2
2017年07月31日
さて、それでは伊福部昭とシベリウス、ふたりの作風のひとつである執拗な通奏リズム(オスティナート)。
私的には、ここに国民性の違いを感じることができます。
シベリウスのオスティナートは、作品によって様々なパターンがありますが、裏拍が基調となったり馬の蹄のような跳ねるようなものだったりするものが多くみられます。
伊福部さんの場合は、とにかく主拍に強迫が来る古来日本人が得意とした、いわゆる「手拍子」感の強いオスティナートが多いように思います。
ゴジラしかり、タプカーラしかり、ラウダしかりですね!
この辺りが音を出してみると、ビビットに我々の腰にくると同時に、独自の魅力になっていると感じます。
さらにもうひとつ言えるのは、シベリウスのオスティナートがリズムとハーモニーで作られるのに対し、伊福部の場合はオスティナートに高い旋律性を持っています。
ラウダのマリンバパートや、ゴジラのテーマにも同様にみられるものです。これがまたとても心地良い。
そう考えると、シベリウスの「エン・サガ」は彼としては珍しく、主拍に強拍がくるメロディックなオスティナートが満載です!そして3番の1楽章もしかり!
この辺が「北方の舞踏」と題し、アイノラ響のプログラムにまとまったひとつのポイントと思われます。
ぜひ一度その辺りを意識して聴いてみてはいかがでしょうか!
山本 勲
(次回へ続く)
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