【不定期連載】シベリウスと伊福部昭の作風、そしてラウダ・コンチェルタータ 3

2017年07月31日

オスティナートの次は和音についてです。

いわゆるクラシックと呼ばれる西洋音楽は、ドミソをもっとも落ち着く響きとして、「ハーモニーが様々な冒険を経て最終的にはドミソに落ち着きました」とい構造を伝統的に用いています。

しかし「ドミソが落ち着いて聴こえる」というのは世界共通なのでしょうか?

ちょっとうろ覚えなのですが、伊福部昭の本の中に、2つの異なる音程を同時に鳴らしたとき、どの音程がいちばん美しく感じるか?という実態調査の話題が出てきました。

それによれば、日本人には三度(例えばドとミですね)よりもニ度(例えばドとレですね)を美しく感じると答えた方がかなりの割合でいた、とあります。

この二度の響きはシベリウスでも多用されています。

例えば「エン・サガ」の冒頭アルペジオをバックしてに現れる木管メロディの響き、交響曲1番冒頭のティンパニの伴奏とクラリネットソロ、日本の伝統音楽、あるいは雅楽に頻発する笙の響き。そしてラウダでは、静かな中間部でマリンバを支える雅楽ハーモニーなど、至る所で豪快にニ度のハーモニーが使われています。

さあ皆さんはニ度と三度、どちらの響きに惹かれるでしょうか?

ぜひ一度、耳を澄ませてみてくださいませ。

山本 勲

(次回へ続く)



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